今こそ読むべき名著 1984 ジョージオーウェル

すごく面白い作品だ。なぜか。徹底的な監視社会でひどい言語統制を描きながらも、それが現実的だと感じさせるからだ。切れ目のない統制が詳細に描かれてる。経済は回ってるし党への反発分子は少ないし出てきても粛清される。人民は統計や戦争の虚構の報道に熱狂している。
疑問に思っている点が二つある。オブライエンは何者なのか。スミスウィンストンに反逆者として手を貸したが、愛情省でスミスウィンストン拷問しているのはオブライエンだ。スミスウィンストンが閉じ込められている時に愛情省の監獄に現れたオブライエンは思考犯罪社として来たのでは無かったのか。現役の党員として来たのか。二つ目。権力の目的は権力なのか。徹底的な統制によってほとんどの人民 プロールと党外郭 の幸福を犠牲にしてまで権力を得たいものなのか。
言語統制や二重思考は目的はともかく概念として面白い。英語や社会に影響を与えた作品というのも納得だ。語彙を減らしても良いのではと語学学習中には誰もが思っただろう。言葉が無ければ概念が産まれず思考が出来ないと言ったのは誰だっただろうか。政治犯的な ここでは党の考えに反発すること を言語から消しちゃう。画期的だ。と思ったらナチスファシズムでも行われていた?かもしれない。本当に徹底的に統制されるさまが描かれてる。
二重思考を本心からやるのは難しいだろう。拷問されて、スミスウィンストンは変わってしまった。物語的な着色もあるだろう。ある程度真実なのだろうが、どの程度真実なのだろうか。
ジュリアとの初めてのセックスが、政治的反発の具現化として描かれてるのが面白い。
オチに救いがない。どうしようもない。そう書くしかない。
面白く読みすすめることが出来て教養が身に付くような小説だった。文庫本500ページ。村上春樹の作品のようにひとり物思いにふけるシーンが多かった。